東京地方裁判所 昭和54年(特わ)2079号 判決 1979年9月26日
本店所在地
東京都江戸川区平井六丁目六八番六号
久野木商事株式会社
(右代表者代表取締役 久野木敬三)
本籍
東京都江戸川区平井七丁目一七七八番地
住居
同都同区平井六丁目六八番六号
会社役員
久野木敬三
大正七年六月二八日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官八代宏出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社久野木商事株式会社を罰金七五〇万円に
被告人久野木敬三を懲役八月に
それぞれ処する。
被告人久野木敬三に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社久野木商事株式会社は、東京都江戸川区平井六丁目六八番六号に本店を置き、象牙商品の輸入及び製造販売等を目的とする資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告人久野木敬三は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人久野木は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和五〇年九月一日から同五一年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五一、二七〇、五六七円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五一年一一月一日、東京都江戸川区平井一丁目一六番一一号所在の所轄江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、八一八、六五八円でこれに対する法人税額が八八八、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一九、四八七、五〇〇円(税額の算定は別紙(三)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額一八、五九八、九〇〇円を免れ
第二 昭和五一年九月一日から同五二年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三七、一四二、九八二円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五二年一〇月二八日、前記江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三八一、六九五円でこれに対する法人税額が六三、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出してそのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一三、九七三、八〇〇円(税額の算定は別紙(三)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額一三、九一〇、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全体の事実につき
一、被告人の当公判廷における供述並びに大蔵事務官作成の質問てん末書及び検察官に対する供述調書
一、東京法務局登記官作成の昭和五三年一一月一五日付登記簿謄本
別紙(一)、(二)の修正貸借対照表に掲げる各勘定科目別過年度金額欄、当期増減金額欄記載の数額について
<現金につき>
一、大蔵事務官作成の現金調査書
<普通預金、定期預金、定額郵便貯金につき>
一、大蔵事務官作成の簿外預貯金調査書
<商品、前期否認商品当期罷容につき>
一、検察事務官作成の捜査報告書
一、押収してある昭和五一年八月期、同五二年八月期法人税確定申告書各一袋及び昭和五一年八月期確定修正申告書一袋(昭和五四年押第一四五〇号の一ないし三)
<代表者貸付金につき>
一、大蔵事務官作成の代表者勘定調査書
<未収利息、仮払源泉税につき>
一、大蔵事務官作成の受取利息等調査書
<価額変動準備金につき>
一、大蔵事務官作成の昭和五三年一二月一四日付証明書
一、押収してある昭和五一年八月期、同五二年八月期法人税確定申告書各一袋(前同押号の一、二)
<未納事業税につき>
一、大蔵事務官作成の未納事業税調査書
別紙(一)、(二)の修正貸借対照表に掲げた公表金額及び過少申告の事実について
一、押収してある昭和五一年八月期、同五二年八月期法人税確定申告書各一袋(前同押号の一、二)
(法令の適用)
被告会社につき
いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項
被告人につき
いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)。同法二五条一項
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 須田贒)
別紙(一)
修正貸借対照表
久野木商事株式会社
昭和51年8月31日
<省略>
別紙(二)
修正貸借対照表
久野木商事株式会社
昭和52年8月31日
<省略>
ほ脱税額計算書
(1) 自 昭和50年9月1日
至 昭和51年8月31日
事業年度
<省略>
(2) 自 昭和51年9月1日
至 昭和52年8月31日
事業年度
<省略>